1949年に兵庫県神戸で創業したオニツカタイガー。戦後の日本で「スポーツを通して青少年の健全な育成に貢献したい」という思いから生まれた一足のバスケットボールシューズに始まり、いまやヨーロッパのストリートでもすっかりおなじみの存在だ。とりわけアイコンである「メキシコ 66」をはじめとする薄底のスニーカーは、昨今のロープロファイルなシューズ人気とも重なり、大きな注目を集めている。その勢いを象徴するように、ミラノ・ファッションウィークに合わせて新たな旗艦店がミラノ中心部のリバティ広場にオープンした。シューズだけでなくウェアやアクセサリーをそろえ、カフェも併設。プロダクトを売るだけではなく、その周囲にあるカルチャーや時間まで含めたライフスタイルブランドへと領域を広げている。
街を舞台に広がる自由なミックススタイル
今季のショーは、世界各地の旗艦店が担う役割を、空間と演出で体現するかのようだった。着想源となったのは、人々が集い、エネルギーを補給し、次の目的地へ向かう準備をする場所「ENERGY STATION」。会場である、普段は殺風景な巨大イベントスペースには、まるで一つの街を創出したかのような豪華なセットが組まれた。そこにはカフェやスーパーマーケット、フラワーショップ、ランドリーが並び、ガソリンスタンドまで設けられている。ハリウッド映画のセットのような空間で、ショーはブランドを象徴する
タイガーイエローに染まったホンダとのコラボレーションによるオートバイが、ストリートを模したランウェイに轟音とともに走り込む演出で幕を開けた。
コレクションを通して打ち出すのは、異なるテイストを自由に掛け合わせたブランドらしいスタイルだ。キースタイルは、スポーティーなトラックパンツに硬派なブレザーを合わせた装い。使い込まれたヴィンテージのような風合いのバイカージャケットやワークウェアジャケットといった無骨なアイテムも登場し、時にはフリンジを効かせてウエスタンの要素を加えるなど、一つのジャンルに縛られない多彩なスタイリングが続いた。
ボーダーのニットウェアにはどこかレトロな雰囲気が漂い、それをスポーティーなパンツやスニーカーと組み合わせることで現代的なバランスへ。カラーパレットはグレーやブラウンといったベーシックカラーを基調に、淡いトーンを差し込みながら、随所にブランドを象徴するタイガーイエローを効かせている。
シューズには、光沢感のあるカラーバリエーション豊富な「メキシコ 66」の他に、トレンドに左右されることのないローファーや、スニーカーとフィッシャーマンサンダルをドッキングさせた新鮮なアイテムも登場。
テーラリングとスポーツ、ワークウェアとウエスタン、ヴィンテージと現代的なストリートスタイル。一見すると異なる背景を持つ要素をひとつのルックの中で掛け合わせることで、今回のメンズウェアには肩の力が抜けた独特のミックス感が生まれていた。それは、街を行き交う人々が思い思いの装いを楽しむような、リアルで自由なスタイルでもある。さまざまなカルチャーが交差し、新しいエネルギーが生まれては、また次の場所へと広がっていく。そんな都市の風景を丸ごとランウェイへと持ち込んだ今回の「ENERGY STATION」。シューズから始まったオニツカタイガーが、ファッション、カルチャー、そしてライフスタイルへとその世界を広げていく姿を印象づけるショーとなった。
ショーを見届けた豪華セレブリティ
俳優やアーティストなど、国内外で活躍するゲストも会場に集結。多様なカルチャーを取り込んだ今季のコレクションを、ランウェイの外からも印象づける顔ぶれとなった。

























